第三話 「境界の見張り番 ~Diligent worker~」

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レノ「わかった。悪いのはヘムダル、お前じゃない。俺があの男と話をつける」 へムダル「レノさん……ありがとうございます」    へムダルは、思わずヴァンタを抱きしめる。 8 同・カンファレンスルーム(翌日)    モニターに映し出される、ヘムダルの図面。    それを眺めているメゼルドと取り巻きたち。    そして、レノ。 レノ「システム的には何ら異常はありませんでした。業務に復帰しても差し支えないと判  断し、管制塔でその準備を進めています」 取り巻きA「何を勝手に……!」 メゼルド「(取り巻きAを制し)ほう。では原因は何だったんだ?」 レノ「それは……ここの勤務体系です」 メゼルド「何?」 レノ「ここの過酷すぎる労働環境が、彼に『心』を芽生えさせた。いわば自己防衛のため  の進化だ。いくらアンドロイドでも、キャパシティに限界がある」 メゼルド「なら、その『心』を消せばいいだろう」 レノ「……あんた、何もわかってねぇな」    何!? と立ち上がる取り巻きたち。 レノ「それじゃあ根本的な解決にならない。このままじゃ、アンドロイドの修理や代替え  をしても、同じ事は何度でも起こるぞ。ヘムダルに充分な休暇と、適切な労働時間を設  けろ」    笑うメゼルド。     
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