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そして、乗り手の戦士を失って尚、ボロボロの剣を突き出し、戦う意志を最後まで示し続け、少年を守りぬいた鋼鉄の巨人……
何のことはない。奴らは獲物がいなくなったから、立ち去っただけだ。
あの[影]は何者なのか……
この街の人々が、知人が、友人が、そして、父がどうして殺されなければならないのか……
あまりにも無慈悲……
あまりにも理不尽……
救いを求める人々の祈りは信じたはずの神に届くことはなく、運命は人々に甘んじて死を受け入れ、犠牲になるよう命じるだけ……
――こんな事は間違っている!
だが、起きた出来事は覆らない。
――全て嘘に決まっている!
そうであれば、街は滅んでいない。
――こんなの、悪夢じゃなきゃ何だって云うんだ!
少年はその場から逃げるように走り出す。
――そうだ、これは夢だ。夢に違いない!
少年が躓いたものは、瓦礫か、死体か……
――夢なら、醒めてくれ!!
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