二人の英雄

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 人々の間で〈ゴンドア〉と呼ばれている大陸がある。  西方暦八〇八年当時――  大陸の中央を占める中原――通称〈中原(ちゅうげん)国家群〉と呼ばれる地。  ここは樹海や山々、大河や砂漠など自然の難所に囲まれる中、大小様々な独立国家が連立し、時に交易、時に戦を繰り返す、絶えず混沌とした場所であった。  ナランの在籍していたウーゴ砦のある〈ウライバ藩王国〉も、その中にある小国の一つである。  中原国家群を取り巻く周辺は、決して穏やかではなく、〈クメーラ王国〉をはじめとする西方列強諸国、特殊な宗教勢力の威光が広がる東方の〈ラ諸国連合〉、そして北の軍事大帝国〈グランバキナ〉が三方を取り囲み、勢力拡大のため、この地を(うかが)っていると云われていた。     
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