騎馬と銃弾

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 ドルトフ装甲騎馬隊の動きを見たトゥルムは、 「流石はクメーラの装甲騎士……壮観なる姿よ!」  と、感心しつつ、自軍に突撃の下知を飛ばし、自らも馬腹を蹴る。  装甲騎馬同士が正面から戦闘になる場合、原則、馬上槍による突撃となる。  これは、昔からの伝統というのもあるが、この世界の甲冑は鉄甲騎の装甲と同様に心象具現化術による錬成によって軽量化と硬質強化が施されている。  それに対して、銃火器、特に火薬はまだその歴史が浅く、心象具現化による強化の研究がいまだ途上にあり、従って、騎士の鎧う甲冑は、騎兵銃程度による貫通は容易ではなく、古来よりの戦術がいまだ有効となっており、それが彼等の自信と誇り、そして、(おご)りを助長しているとも云える。 「ウーゴ騎兵隊、突撃!……蹴散らせ!」  隊長の騎馬が前足を振り上げ、(いなな)き、どっと駆け出すと、それに続いて全ての騎馬も馬蹄(ばてい)を響かせる。それを見た装甲騎士は、 「来たぞ……相手は我が方の半分……全軍、散開して囲い込め!」  と、部隊を横一列に展開する。その動きに、一切の乱れはない。 「支援火器の援護など、お見通しだ!」     
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