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兇賊を守るため、ではなく、よりにもよって同じ騎兵に無視された事に激怒した装甲騎士が、我を忘れて騎兵隊に追撃を始めようとしたその時、
「撃ち方、はじめ!!」
装甲騎士に向けて、銃弾の雨が浴びせかけられた。
ウーゴ砦の秘匿兵器の一つ、二人一組で運用される最新型の携行式機関銃〈マキシマ〉五挺から放たれた、騎兵銃など比較にならない無数の弾丸は、無情にも装甲騎士に襲いかかり、やがて彼等の姿は、巻き上げられた砂煙の中に消えた。
騎兵隊が散開、左右に分かれたのは、流れ弾による被害を回避するためである。
「やったか!?」
――強化甲冑といえど、あれだけの銃撃を受ければ無事では済むまい!?
事実、この機関銃の試験でいくつもの甲冑が破壊されている。
機関銃の発射音と、弾が命中し鋼が弾ける音を耳にしたトゥルムは、彼等を哀れみ、同時に勝利を確信すると、自軍を振り返らせずに突撃を続行、続けて進軍する兇賊の前に騎馬を走らせ、その場で全軍に停止命令を出す。
「騎兵銃……構え!」
掛け声と同時に、騎兵隊は馬首を返し、鎖閂式の騎兵銃を構えて、兇賊に狙いを定める。
「斉射!」
隊長の号令で一斉射撃が始まる。
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