騎馬と銃弾

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 兇賊の中には、剣の腕に覚えがあるのか、銃を捨てて騎兵に挑むもの達もいたのたが、騎馬の突進力に敵うわけもなく、敢えなく蹴散らされる。  騎兵を相手取るには馬を狙うのが定石とされているが、狙われる側は当然、それに対する対策を講じ、訓練しているもので、実際の所それは口で言うほど簡単ではない。  甲冑に身を鎧い、同じく装甲で守られた騎馬を駆る騎兵は戦闘機械のような存在であり、陸戦では鉄甲騎に次いで脅威である。従って、混乱の極みにある兇賊が正面から挑んで勝てる道理はない。 「よし、鉄甲騎が前進する前に、もう一射だ!」  トゥルムは再度号令し、銃を構えさせる。 「……狙え……()えっ!」  だが、号令に続いて鳴らされた射撃音は、自分たちのものではなかった。 「隊長! 支援部隊が……」 「な……!?」  振り向いた騎兵隊長が見たものは、砂煙の中から現われた敵装甲騎士が、支援部隊に向けて騎兵銃を撃ち放つ光景だった。 「そんな……マキシマ機関銃の一斉射を耐えたというのか!?」  騎兵隊長が呆然となる間も、敵装甲騎士による射撃は続き、支援部隊は苦戦を強いられている。敵は、下馬した上で馬をしゃがませ、自らの装甲で身を守らせると、騎士自身は二十人が騎兵銃による射撃、そしてもう二十人は盾による防御という体勢を取らせていた。     
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