騎馬と銃弾

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 その声に再度振り向くと、兇賊が体制を立て直し、こちらも銃を構えて発砲を始めたのだ。その命中弾の何発かは甲冑で跳ね返るが、今度は敵も腰を据えて狙いを定めており、中には、装甲の隙間に弾が飛び込み、二人が負傷し、さらには、脚を撃たれてその場に倒れ、絶命した馬も出ている。  また、後ろに控えていたと思われる、重装歩兵崩れの兇賊が新たに多銃身機関銃を引き連れて参戦し、浮き足立つ騎兵隊に追い打ちを掛ける。 「各個発砲、敵を近寄らすな!!」  隊長の命令に従い、騎兵隊はそれぞれに発砲を始める。だが、士気の低下した騎兵隊は、総崩れとは行かないまでも、不利な状況に追い込まれたことは確かである。  しかも、冷静さを取り戻した兇賊は今度こそ脅威となった。彼等は、正面から騎兵に挑むことをせず、今度は数を便りに、その上、様々な(から)め手で挑んできたのだ。  トゥルムは、一人の騎兵が四方より飛んできた分銅付きの縄に巻き付かれるのを見た。 「今行くぞ!」  そう叫んだものの、トゥルム自身も背後から飛び掛かってきた兇賊を振り払うのに必死である。     
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