騎馬と銃弾

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 シディカの立てた作戦は、この土地柄、時代には少々早すぎたと云える。故に、騎兵隊長を強く処断することは出来ない。 「武器など、後でどうとでもなります。それより、私の作戦で予想以上の被害が出たことを詫びなければ……時間がなかったとはいえ、もう少し作戦を検討していれば……私が最新武器を過信していなければ、皆さんへの被害を押さえることが出来たかも知れません……」  シディカの謝罪の言葉を、ドルージが遮る。 「そういうのは、全部終わってから言おうや……討ち死には戦場(いくさば)の常だ。今は、死を嘆くより、それが六人で済んだと思うことにするんだな……」  その言葉に、トゥルムが言葉を挟む。 「待って下さい……討ち死には四人のはずです。ここに……」  そういって、隊長は横たわる遺体を指した。それは、どうにか連れ帰ったものの、すでに手遅れだった者たちだ。その中には、擲弾筒を抱えて撃った、若い騎兵の姿もある。  その数――即ち、戦死者は四名の筈である。 「だが、帰還者を数えたら、二十四人だぞ……おそらく、途中で力尽きて落馬したんじゃないか?」     
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