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ドルージに言われて再度数えてみると、確かに、兵の数二十四人に対し、馬は二十六騎……だが、騎兵隊長は途中で落馬したものなどいないと考えていた。城門に入城する直前、自分は殿として、自分を除く騎兵隊二十五騎が居ることを確認したのだから……
峡谷――
「ええい、あれだけ追い詰めておいて、逃げられるとは何事であるか!?……すぐに鉄甲騎で追撃するのである!!」
ドルトフの憤慨に、副官のガイシュが諫める。
「閣下、今、戦場は混乱する味方がおります。そこに鉄甲騎が足を踏み入れれば、混乱が増すばかりでございます。ここは、装甲騎士と兇賊どもが体勢を立て直すのを待つより他はないかと……」
「……こんな時に、ゼットスの奴はどこに行ったのであるか!?」
「……次の手は打った……俺さんの作戦は、まだ、終わっちゃいねぇ……」
砦某所――
物陰では、誰にも気付かれずに隊を離れた二人の騎兵が身に着けていた鎧を脱ぎ捨てていた。
「さぁ……砦さんに地獄を見せるのは、これからだぜ……」
部下と共に潜入、潜伏したゼットスは、自分たちの出番が来るのを待ち続けていた……
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