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で、あれば尚更、この破壊活動に合点がいかない。何処かへの見せしめであるならば解るが、それはいったい、誰に対してのものなのかは見当も付かない。
あるいは、地獄から迷い出た妖魔であろうか――
それならば、納得が出来るかも知れない。しかし、解らないからと言って、すべてをそのような迷信じみた者たちのせいにしてしまっても良いものだろうか……
結局の所、正体も目的も不明のままだ。
奴らが叫ぶのは、崇める神の名か、それとも、奴らの長の名か、はたまた、長を背に乗せた巨大な[龍]の名か……
確かなことは、その目を不気味に輝かせ、凶刃を振るう[影]が実在すると云う現実と、大勢の人々が逃げ惑い、殺されていくと云う事実だけだ。
住人も、ただ黙って殺されるわけにはいかない。
迫り来る驚異に対し、自警団をはじめとする街の男達も立ち上がる。
剣を手に、銃を構え、棒を振り回し、石を投げる。見栄も格好もない。綺麗事ではなく、形振り構わず、街を守れと叫ぶことで自らを鼓舞し、ただひたすら、がむしゃらに反撃する。
だが、人々が懸命に戦っても、脅威は去らなかった。抵抗はむしろ[影]どもの怒りを買い、反抗するものは尽く命を散らす。
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