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「おそらく、始動時に相当強い[念]を込めてしまったのでしょうねぇ……
ナラン君の技量そのものが[引き上げられて]いるのも見て取れますから、相当〈共鳴〉が進んでいるのではないかと思われます。
これまで例がないので何とも言えませんが、ここまで深く〈共鳴〉を起こしてしまうと、交換でもしない限り、サクラブライの魂魄回路は、ナラン君以外の機関士を受け入れることはないかもしれません……もしかしたら、ですが……」
「それじゃ、ナランはこのまま、あの鎧に取り込まれちまうのか!?」
血相を変えたドルージの叫びに、シディカは怯えながらも答える。
「そ、それはわかりませんよぉ……〈共鳴〉に関しては不明要素が多いし、何より、サクラブライの魂魄回路は、資料通りとすれば普通の鉄甲騎に使われているものとは違う部品が多すぎて……」
屋根付きの望楼台――
イバン達の様子を、ミトナ王妃殿下が眺めていた。
いつまでも始まらない状況に苛立つ様子もなく、ミトナ、そして護衛兼、評価役として同行している老戦士は、サクラブライと、その周辺の状況を静かに見つめていた。
「……何やら、揉めているようですが?」
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