第1章

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 宇宙歴0XX年、人類は遂に完璧なAI(簡単に言うと人工知能。それが備わったロボットの総称を『R』と呼んだ)と、それを機能的に遂行させる事の出来るファイナル・プログラムを完成させた。  3000XY11型のヒューマン・タイプ人工知能のRが各家庭に配備されると、人間の家事や育児に掛かる負担はほとんどなくなった。 あらゆる未来を想定可能なRに学業も進路も、仕事も成績も全て管理され、スケジュール通りに動きさえすれば、問題が起こる事も、事故が起こる事もなかった。 あっても、それは予めインプットされた非日常を演出するためのデモンストレーションのようなものであった。  また身体の不調、精神的な悩みは予測され、事前に対策を組まれた危機管理カルテが自動的に作られる。  少しでも向上心があり、レベルを上げたい者は分相外カリキュラムを組んでもらう事が出来、 既存の未来を変えて行く事も出来るのだ。 そんなオールマイティに『人に寄り添う』ロボットとして、Rはなくてはならない存在となった。  ただ、話し方と名称、形状は人間と区別させるために多少の特徴を残している。    日比谷家は都内の大和線の内側にある住宅街のマンションに居住を構えていた。  ほとんどの家は、高台を内側から掘削した地中か、地下を含む通路で繋がる構造になっている。     
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