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リビングにはテーブルで絵日記を描いている弟のマナビ。向かいには父親の拓司がゲームに興じ、母親の園美はママ友とメールのやりとりをしている。
リビングの周りで質問に答えたり、資料の説明をしていたこの家のR、ロボ吉がナココに今日の報告を受け、明日の予定を確認している。
「ロボ吉、今夜は宿題、自分でやるからイイよ」
やり取りが終わると、少しはにかんでナココが言った。
「ソオデスカ リョウカイ シマシタ。 ナココ デート デスカ?」
各家庭に配備されたRには、品番の他に住民票や氏名が与えられる。名前はその家族で決めるのだが、『ロボ』という文字が必須だ。彼は『日比谷ロボ吉』という名前で日比谷家に籍を置いている。
「もう、知ってるくせに……」
顔を赤らめて唇を噛む仕草が、子供のそれとは違って来ている。ロボ吉はナココを成熟期と捉え始めている。
「パパサン アスノ ヨテイデス」
腹部のモニターをナココの父親、拓司に見せながら、ロボ吉が内容の説明をする。
Rの家族への呼び方は、その家族が決めている。全員を名前で呼ぶ家庭もあるが、この家では子供達を名前で呼び、父親の拓司をパパサン』、母親の園美を『ママサン』と呼んでいる。
「ああ、分かったよ。でも、明日の朝でもいいんだろ。今、忙しくて……」
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