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振り向いた瞬間にモニターを見た振りをして、ゲーム機に視線を戻す。
拓司はRのプログラムを発案した会社「株式会社システム・ファイナル・レールロード」のシステム管理所長である。ある意味Rの産みの親でもある。白髪交じりの頭を掻いているが、まだ43歳になったばかりだ。
「ゲームしてるだけでしょ? 一応義務なんだから、目を通したら?」
タブレットに入力しながら母親の園美が拓司を振り向く。園美は拓司の二歳年下である。
「いいんだよ。プログラムで義務化したのはウチの会社なんだから。法律を作る側はいつも免責になってるだろ? 何なら書き換えるし」
「変な理屈。他人に厳しいだけでしょ? そんなんじゃ誰も守らないわよ」
「手厳しい事で……」
溜め息をつきながら、ロボ吉のモニターを確認する拓司。それでも上の空だ。
それを見て、少し淋し気な表情のロボ吉。
「ソレデハ ママサン コンヤノ レシピヲ ミテオイテ クダサイ」
「今夜の献立は何かしら?」
ロボ吉のモニターを確認する園美。左手ではタブレットのキーを操作している。ママ友とのメールのやりとりに余念がない。送信先が一覧表になって表示されている。
「ふんふん。いいんじゃない? 後はやっといて」
頷いてロボ吉の肩を叩く園美。
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