2 夢をさ迷う火の玉

6/6
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/138ページ
「うんうん、バクくんのことも頼りに思ってるよぉ~♪」  わたしは、ほっぺたをふくらませてヤキモチを焼いてくれるバクくんの頭をなでなでしながら、にへら~とほほえむ。  でも、バクくんのさっきの言葉で、ヒカルさんに前から聞いてみたいと考えていたあることを思い出した。 「そういえば、ヒカルさん」 「また、リンゲツテンコウにきくぅ~!! バクにしつもんしろばくぅ~!!」 「ヒカルさんは、どうやってふつうの人間から夢の世界の鬼になったんですか?」 「……それは、リンゲツテンコウほんにんしかわからないばくぅ……。しょぼ~ん……」  がっくりとうなだれるバクくん(可愛い)。  ヒカルさんは……聞かれたくないことだったのか、ほんの一瞬(いっしゅん)、暗い顔になった。  でも、すぐにいつもの冷静で大人びた表情にもどり、 「オレは、大昔に(いくさ)で死んだ。そして、なぜかあの世に行かず、夢の世界の鬼になってしまった」  ポツリとそう言うと、かすみが消えるようにわたしたちの前から姿を消してしまった。  え? 戦争で死んだ……?  そういえば、ヒカルさんは武士の鎧を着ている。  ヒカルさんはサムライ……つまり、わたしが生きている時代よりもずっと昔の人だったんだ……。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!