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1.ネットポリス
今日も愛用のベレッタの調子は最高だ。
廃工場内に潜む悪漢達の銃撃を右に左に交わしながら、桐生慎也は次々と彼らに銃弾を撃ち込み、彼らの持つ大仰な獲物を弾き落としていった。
飛び交う銃弾と鮮血、周囲に漂うむせ返るほどの硝煙の臭い。
手にずしりと伝わる銃の感触。
それらにかつての戦場での感覚を思い出し懐かしさを覚えながら、桐生はコンテナを背にマガジンを入れ替える。上方からの気配に気付いた次の瞬間には、前方へ飛びのきつつ頭上へ銃弾を乱射していた。
撃ち出した弾丸は、上方に潜んでいた男の足元の床を貫き、胸元に命中した。男はそのまま鉄柵を越えて床へと落下した後、かき消えるようにその姿を消す。
同時に前方の至る所から銃弾が雨あられと浴びせかけられる。桐生は間一髪で近くのドラム缶の陰へ隠れ、難を逃れた。背にしたドラム缶に銃弾は切れ目無く打ち込まれ、途切れる気配はない。あたり一面に硝煙の臭いが漂い、廃夾が床へと落ちる残響音が銃声に紛れて聞こえてくる。
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