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警視庁に「電脳犯罪捜査課」・通称ネットポリスが新設されたのは、ネット上の仮想現実空間を体感できるインターフェイス「ソウルゲートシステム」が世間に爆発的に普及したことが大きな要因とされている。
外資系の大手コンピューター会社ベクターカンパニーが十年前に発表したこのシステムは、もともとテレビゲーム用の体感シミュレータとして開発されたものであったのだが―――――脳波・神経系に作用し、五感を仮想空間上で擬似的に知覚させるという画期的な機能が話題を呼び、その後ゲームのみならずインターネット情報へ対応できるようになると、その需要は一気に高まったのである。
基本装備のバイザー付ヘルメットとモーショントレーサー等の簡素な周辺機器のみで、インターネットの情報をよりリアルに取り入れることを可能にしたこのシステムは、その手軽さから大衆にも幅広く受け入れられることとなった。
システムの普及率上昇と共に、ネット上に擬似的な生活空間の開発が進み、その規模は年々拡大の一途を辿っていった。
ネット上には幾つもの都市が出来、そのそれぞれに現実世界と同じような街並みが広がり、人々は各々のアヴァター(人々の姿を模した、CGで描かれた虚像)を通してその世界を感じ、そこでの暮らしを楽しむのが日常となった。
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