フーディスト出撃

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30分後、3人は大きめの瓦礫に身を隠していた。 『こちらキッチン。ウェイター、聞こえますか。』 「こちらウェイター。通信良好、こちらは3機とも損害なし。全員無事だ。」 『はぁ~よかったです~!』 春絵の心の声が漏れる。 「春絵ちゃん。」 笑いながら諭す。気持ちは嬉しいが、今は任務中だ。 『す、すみません!えっと…今皆さんがいるところは盛岡で間違いありません。しかしジンジャーソーダはそこから3キロほど離れた地点にあります。』 『飛べばすぐの距離だね。ま、飛べればだけど。』 空は3人を探すゲストの群れで溢れていた。 『…ぶっちゃけ歩くのも無理そうじゃない?』 「とはいえ生身でという訳にもいかんだろ。目的物が目的物だ。確実にウェイターが必要になる。」 回収するのはウェイター用兵器。20メートル近い巨人の武器だ。普通の人間が持ち運べる物ではない。 『…八方塞がりってやつ…?』 萌花は不安そうな声を上げた。 「…いや、まだ手はある…。」 それは頭に思いついてはいたが、出来ることならば最後の手段として用いたかったものだ。そして今の状況こそ、その時であった。『陽動作戦だね。』 「…気づいていたか…。」 『僕はひねくれ者だからね。』 誰かが囮となって敵を誘い、その隙に他が全力で目標にたどり着く。それしか残された手は無かった。しかし、 『3人でも手に余る敵をたった1人で相手にしなきゃならない。囮となる人間は確実に死ぬだろうね。』 そうだ。それが問題だ。1人の犠牲で任務は遂行される。軍人としては悩むべくもない問題だろう。しかし人間としては最低の判断だ。そう東夜は考えていた。しかし、もはやこれしか策はない。ここでじっとしていても状況は打開されないのだから。ならば…。 「囮は俺が…。」 『僕が行こう。』 東夜の言葉を雅也が遮った。 「おまっ…!」 『東夜は小隊長だ。任務を最後まで遂行する義務がある。…鉄砲玉は部下に任せなよ。』 『ならあたしが行くし!あたしが行ったって同じでしょ!』 萌花がそう言い出した。彼女なりの雅也の意見に対する反論なのだろう。 『君はさっきの戦いで弾をほとんど使い果たしているだろう?囮は充分に時間を稼がなきゃならない。今の君では荷が重いよ。』
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