フーディスト出撃

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「失礼します!第2小隊3名!ただ今出頭致しました!」 ひとしきり騒いだ後、春絵の通達通り司令室へ向かった3人。そこには初老の男性が険しい表情で座っていた。 「ご苦労。君たちを呼んだのは他でもない。君たちにしか頼めない任務がある。」 3人の表情も険しくなる。司令官から直接任務を言い渡される。それはかなり重要であり、それに伴うリスクがあるということなのだから。 「先日、盛岡方面にて大規模な戦闘があったのは知っているな。そう岩手解放作戦だ。」 岩手解放作戦。日本解放を目指した戦いで日本全域からだけではなく、世界中から多くの支援を得て行われた。 「知っています。しかしその作戦は…。」 「失敗だった。かつてないウェイターを投入してなお、岩手からやつらを駆逐できず。ただ物資と人員を無駄に消耗するだけとなった。」 そうその結果は失敗。ゲストの弱点を看破し、無数の対策を講じたにも関わらず人類は敗北した。 「ええ、当時最新の装備を多数あったそうですが、それも無駄だった。」 「そしてその理由も分からないって話でしょ?うちからも第1小隊が参加したけど、帰ってこなかったし。」 萌花の言葉は淡白であった。友達に噂を話すような気軽さであった。 「雅也くんと萌花くんの言う通りだ。そして勝利を確信していた人類にとって、この敗北は想像以上に深刻だ。そこで…。」 東夜が口を挟む。 「原因調査ということでありますか?」 「そうだ。」 司令官は机から3つの封筒を取り出し、机に広げた。3人はそれを受け取り、中の書類に目を通した。 「無論、3人で出来ることなどたかが知れている。更には敵の勢力圏内だ。時間をかけて調べることは不可能だろう。そこで君たちには特定のポイントで、一点のみの仕事となる。」 「!?これは…!」 雅也が言葉を投げかけようとしたが、司令官はそれを手のひらを見せることで静止した。 「書類に目を通した後、ここで焼却してもらう。質問は一切無しだ。君たちには書面通りのことをしてもらう。」 有無を言わさないこの雰囲気。その空気を読まない者もいた。 「ちょ!ちょ!ちょ!あたし任務覚えるとか無理なんですけど!しかもこんな複雑そうなの…。なおさら覚えらんないし…。」 萌花は心底不安そうであった。
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