フーディスト出撃

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「心配はいらない。極秘任務ではあるが、オペレーターはつくことになっている。現地での詳しい指示は彼女が行ってくれるだろう。」 萌花は少し安堵した表情になった。 「…了解しました!これより第2フーディスト小隊は極秘任務に当たります!」 3人は宛てがわれたライターで書類を焼いた。原始的だが機密保持にはこれ以上にない手法である。それから敬礼した後に退出した。 「2人とも分かっているな。これは他言無用の任務だ。出撃は明日だが、絶対に誰にも喋ってはいけないぞ。」 東夜は宿舎へと向かいながら言った。そしていきなり立ち止まる。 「特に萌花!お前は口が軽いからな!俺は心配で心配で今日は眠れないぞ!」 「はぁあ!?失礼なんですけど!?あたしそんな秘密とか喋ったことなんかないんですけど!」 「…俺がジュスティーヌちゃんに振られたこと基地のみんなに話したのお前だろう?」 そう東夜は2週間前、他小隊のオペレーターであったジュスティーヌ・ノリスに告白していた。しかし結果は惨敗。失礼なことを言ったのか、頬に椛模様ができる有様であった。しかもそのことが翌日には仙台基地全員が知ることとなり、今もなお、そのことでからかわれるのである。 「…てへっ♪」 右手で自分の頭を小突き、舌を出して左目を瞑った。 「てへっ♪じゃねぇよ!あれだけ秘密にしろって言ったのに、なんですぐバラすんだよ!」 「だってめっちゃ笑えるんだもん!あのときの東夜の…ぷくくっ!」 腹を抱えて笑い出す。彼女にとっては未だにツボらしい。 「俺は1つも面白くねぇんだよ!ええい!笑うな!」 頭に血が上った東夜は萌花に襲いかかる。だが彼女はそれをヒラリと躱す。 「はぁ…。なんでもいいけど、声が大きいよ2人とも。…って聞いちゃいないか…。」 その2人を前にして、雅也は止めようともしなかった。よく見慣れた光景であり、傍から見たらじゃれあっているようにしか見えないからだ。しかし極秘任務に関することを口ずさみそうになったら、身を呈して止めなくてならないため、その場を離れることも出来ないのであった。
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