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「それじゃ作戦を確認するぞ。」
無事に離陸して安定空域に入ったため、用意されたブリーフィング用テーブルに集まる。
「まず本来ならば仙台から作戦地点である盛岡まで、航空機ならば30分もかからない。」
この間の距離は100キロほど。巡航速度で1000キロ以上を出すこの輸送機ならば、あっという間に到着できるだろう。
「だが無用な戦闘を避けるために、敵の警戒網の穴を潜る必要がある。そのため大きく迂回しなくてはならない。」
ゲストにも認知の死角というものがあり、警戒されてないルートが存在する。
「そのルートは前回の作戦でも使用されたが、全員知っての通りゲストには知能はない。よって今回も使用しても安全だということだ。」
それは人類が知り得る数少ない情報の1つである。奴らには凡そ思考能力と呼べるものはない。人類が設置した罠に何度も引っかかってくれることから、その事は証明済みであった。
「よって到着時刻は1時半後、0900となる。」
「次に作戦の概要を説明します。」
東夜に引き継いで春絵が話し始めた。
「今回の目標は前回の作戦で使用された新型兵器、『ジンジャーソーダ 』の回収です。この兵器が現地に残されているのは設置されていた、GPSから確認済みです。」
春絵はテーブルのディスプレイにジンジャーソーダの図を映し出した。それはバズーカの様な形ではあったが、玉を装填する部分がなく、全体的に筒が巨大であった。
「現地に到着次第回収してください。その後本機に帰投。今度は打って変わって最短ルートを全速で駆け抜けて基地に戻ります。」
「なーんだ。簡単じゃーん。」
萌花が拍子抜けしたかのような声をだす。
「つまりバーっと行ってそれ回収して、ダァーっと帰ってくればいいんでしょ?簡単じゃーん。」
そのことは昨日渡された書類に書いてあったんだけどなと萌花以外は思った。やはり作戦内容に関すること全て忘れているようだった。
「そんな簡単な話しじゃないんだよ、萌花。敵のど真ん中にたった3機で乗り込むんだ。」
輸送機には戦闘能力はないため、必然的に3機のみでの任務遂行となる。無論作戦地点付近にはいるものの、援護は期待出来ないだろう。
「当然集中放火にに晒される。そしてそんな中GPSを頼りにこれを探さなきゃならない。可能な限り無傷でね。」
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