プロローグ

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まるで見ていたかのように事件現場と容疑者の状況を言い当てていく二人に牛島は頼りになると感じつつ、敵にならなくてよかったと感じていた。 「では、犯人は別にいるということですか」 「まあ、精霊関係の事件となると視野の狭さや先入観で進めちゃいがちなのは反省してもらうとして、こっからは任せてもらおうかな。精霊専門の調査組織、精霊探偵の二人にね」 「断る」 「従え」 「絶対ヤダ」  事件発生の夜、炭焼きファミリーレストランの席で、桃矢と真治はお互いに向き合って座りながら子供のような言い争いをしていた。現場を後にした桃矢と杏奈はまず容疑をかけられた真治に話を聞くことにし、夕飯を奢る代わりとして呼んだわけだが、真治は俺が犯人を捕まえるの一点張りで、こちらへ話す気が全くなかった。 『君への疑いはこの二人が晴らしたようなものです。少しは協力しても罰は当たらないんじゃないでしょうか』 「お言葉だが、俺はあんたらに助けてもらわなくても犯人の一人や二人簡単に捕まえられるんだよ」 『じゃあ好きにしろ。飯も食うな。さっさと帰れ』 『兄上、抑えてください。こちらとしても大事な情報源なんです』 「そうだよサイ。まずは話を聞かないと」 「置いてけぼりだな桃矢」 「真治、今からでもお前を犯人にしてやろうか」  精霊探偵の二人と真治はお互いに面識がある。まあ、当時は真治が捕まる側だったのでお互いの印象はよくない。話の終着点どころかスタート地点に立つ前に料理が運ばれてきた。奢りとあれば遠慮しない真治と小さい体のくせに意外と大食いな杏奈は看板メニューでもある特大ハンバーグ、桃矢は普通のハンバーグである。 「俺が犯人だって拘束されたのは一階の喫茶店だったわ」 「突然どうした」 「目の前のハンバーグが食べれるならちょっとくらい喋ってやろうって思っただけさ」 「ちなみにお前の捕まった場所や時間も俺たちは知ってる」 「ボク達が聞きたいのは被害者についてだよ」 「あのレストランのスタッフか?あいつは割といいやつでさ。俺の入り時間とやつの終わり時間ってのが重なるんだよな。それでいつもレストランの余りをこっそりくれてたんだ」 「じゃあ被害者と八木君の関係はレストランのスタッフの中に知っている人がいたんだね」 「そうだな、まあ俺も喋るほうだしあいつも結構言うやつだから何人か知ってただろうな」
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