プロローグ

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時の総理大臣、はほんの一時間前に起きた原因不明の事態に頭を抱えていた。これが事件なのか事故なのか、自然的なものなのか人為的なものなのか、はたまた現実なのか夢なのか、そのくらい不可思議な事象で現状なんの対策もとれない状況だ。マスコミへの記者会見を速やかに行うことが議員の中で決定していたが、肝心な内容が全くつかめていなかった。全国区での大きな出来事が同時刻に突如発生した、原因は不明、至急調査にあたる、政府に対する不信任が広がる世の中でたったそれだけ伝えることがどれだけ自分の首を絞めることになるだろうか。議会での疑心と保身に満ちた空気がそう語っていた。 「速報です!」 若い議員が息を切らしながら会議室に駆け込んできた。この時点で届く速報は良いものではないと、伊集院は長年の経験から理解していた。案の定、その情報は政府をさらなる影に落とし、世界に混乱をもたらすものであった。 「隠してもいずれ崩壊するだろう。事実をそのまま伝えることとする」   二時間後、テレビを通し全国へと発信された内容は、歴史上類を見ない内容であった。
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