1/14
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ

 雨が降っていた、しとしととじとじとと、四月にしては生暖かすぎる雨の日、土の腐った匂いが立ち上がる、空は鉛色に低くのしかかる。散った桜の花びらがアスファルトにこびりつく。 「 鎌チョさん 」 「 なんだよ海乃 しょうも無い話なら聞かねぇぞ 」  移動中の車中で海乃大洋(うみのたいよう)鎌丁政道(かまひのとまさみち)に話かける。  鎌チョと言うのは鎌丁の愛称みたいなものだ、2人はオカルト雑誌百目奇譚(ひゃくめきたん)のカメラマンと記者である。カメラマンの海乃は黒のつなぎを着ており身長175ほどで少し長めのパーマヘアの20代半ばのイケメンモデル風である。一方の鎌丁は身長170前後でヨレヨレのハーフコートを羽織った伸び過ぎたボサボサ頭40手前のいかにも雑誌記者と言った感じだ、小綺麗にすればかなりの男前にも見えそうなのだが。目つきだけはやたら鋭い。 「 鎌チョさんって百目はどんくらい長いんっスか 」 「 なんだそれ 俺は殿さまに引っ張られて来たから15年くらいかなぁ 」 「 班長はもっと長いんでしょ 」 「 はっはぁぁん そっちか 」 「 なッ なんっスか 」     
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!