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雨が降っていた。
また雨だ。
しょぼ降る雨のなか、鎌丁政道はビニール傘をさし足早に歩いていた。背後で微かに聞き慣れない外国語が聞こえた気がする。ミスったか、つけられている、鎌丁の脳内で警告が鳴り響く。雨のせいで人は疎らだ、少し先に地下鉄の入り口が見える、そこに潜り込めさえすれば、が、前から2人組の外国人が歩いてくる、目があった、間違いない。
鎌丁はビニール傘を捨て脇道に走り込む、ちらりと振り向くと4人の外国人が追って来る。そのまま路地へと入って行く、人通りに出なければ、なのに選択肢は裏ばかりだ。追い込まれている、狐のように。
気がつくと人気のない裏路地で挟まれていた。前後に2人ずつ、言葉が通じないなら話し合う余地は無い。
昔、1度だけ酔った勢いで三刀小夜を口説いた事がある、忘れられない人がいるからとあっさり振られた、もう一度くらい口説いてみてもよかったかもしれない、そしたらもしかしたら。
上から黄色い物がストンと落ちてきた、それは2人纏めて片手で壁に押し付けた。2人の男の首はあらぬ方向へひん曲がっていた。
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