猫嫌いじいじ

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猫たちに首輪をしリードに繋ぐと3人で歩き始めた。結構朝から散歩している人は多い。 「流星さんおはよう」 「今日も皆、元気そうだね。おやっ」 中年の夫婦らしい人達が声をかけてきた。 「坂田さん、おはようございます。今日から甥っ子と姪っ子も一緒に散歩するのでよろしくお願いします」 流星兄ちゃんがそう言うと、 「こちらこそ、よろしくね。名前は何て言うのかな?」 奥さんが訊ねた。 「僕はそらと言います。《宇宙》って書いてそらと読みます」 僕は名前の説明なんて聞かれてもいないのに説明した。説明しておかないとずっと《空》と思われたままになると困るからだ。何と言っても最初が肝心だからね。 「へえ、宇宙って書いてそら君か。良い名前だね」 奥さんはにっこり笑った。 「花音です。幼稚園の年長さんです」 花音が恥ずかしそうに言った。 「かのんちゃん、良い名前ね。花の音って書くのかな?」 奥さんは腰を低くして花音の目線になって聞いたので、僕が「そうです」って言うと、 「そうなの? 名前の通り可愛いお譲ちゃんね」 と言ってにっこり笑い、花音の頭を撫ぜた。花音は少し顔を赤くして照れ臭そうにしていたけど、 「ありがとうございます」とお礼を言った。
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