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「何かさ、猫たち、おじいちゃんの言葉が分かるみたい」
花音が言った。
「ハッハッハ。そんな筈ないだろ」
流星兄ちゃんが愉快そうに笑った。
僕もそんなこと有り得ないと思った。
「どうなの? 助さん」
花音は助さんを抱き上げ、顔を近づけて聞いている。助さんも花音をじっと見ていたけど、かすかに首を傾げた。
花音が助さんを膝の上に戻すと、助さんはすぐ花音の膝から降りて歩き出した。
僕は何となく助さんの後を付いて行った。助さんは、おじいちゃんの部屋の隣にある『猫部屋』に入って行った。
やっぱりね。
猫部屋は引き戸になっていて、そのドアに猫の出入りできる小さな穴が開いている。
この部屋はどうせ部屋が余っているんだから、猫部屋にしようとおじいちゃんが言ったらしい。リビングにいても猫が傍にいると落ち着かないから……と言うのが理由らしい。
ドアに猫の出入りできる穴を作ったのもおじいちゃんで、この部屋の中にある遊具などで、猫たちは楽しく遊んでいるようだ。
おじいちゃんは猫たちに煩わされることなく自分の時間を楽しめていると喜んでいる。
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