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ダメ女の結果
それからの一週間は本当に多忙だった。
家に帰っては化粧品の事を調べ、ノートに書きだし、また調べては書き出しの繰り返し。
何を聞かれても答えられるよう、それを使ってみたいと思ってもらえるように。
だけど仕事場でいざ化粧品を売ろうと気持ちだけ必死になってみても、それを求めていないお客さんに無理矢理買わせるような事もできなくてなかなか上手くいかなかった。
鈴木がどれだけ売ったのか、聞いて焦りたくも無くて敢えて問い詰めなかった。
そんな日々を過ごして一週間最後の日。
あたしと鈴木は仕事終わりに店長に呼び出された。
「とりあえず、お疲れさま。二人とも凄い売ってくれたもんだから他の店舗の人からお褒めの言葉までもらってるよ」
店長は機嫌良さそうに言って、一週間の売り上げ個数が書かれた紙を指先でトンと叩いた。
あたしは何とも言えなくて頭を一度だけ下げておいたけど結果が気になって仕方が無い。
「店長、それであの…結果はどうなりました?」
まだまだ長くなりそうな話しを遮って店長に重要な結果発表を促してみる。
こんなにドキドキするのはいつぶりだろうか。
「ああ、そっかそうだね。いや本当に頑張ってくれたよ二人とも。でも今回は」
店長は少しだけあたしに向かって申し訳なさそうに眉根を寄せた。
その表情だけで結果は何となく分かってしまった。
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