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床に脱ぎ捨ててある、あたしの下着をぞんざいな手つきで拾い上げた翔は、女の下着に動揺一つ見せず慣れた様子で洗濯機の中へと放り込んだ。
しかもきちんと下着はネットの中に押し込んでいて。
「えらいねーしっかりしてるねー」
「お前は何でそんなにしっかりしてへんの?男に下着洗われて恥ずかしくないん?」
「凄く助かってる!」
「聞いた俺がアホやったね。」
肩を竦めながらもバタンと洗濯機の蓋を閉めた。
「絶対女ちゃうよな。」
「どこからどう見ても女だと思うんだけど。」
「女や言うなら身なりも部屋もどうにかしようか、まずね。」
それってさすがに失礼じゃないかな。部屋はまあともかくとして(あたしは汚いとは思ってないんだよ?うん)身なりはしっかりしているじゃないか。
裸でいるわけでも無いんだし、どこがダメなのか全く分からない。
スウェットのズボンをびろーんと引っ張って翔に見せつける。べろべろに伸びたそれは履き心地抜群なルームウェアだ。
翔はそんなあたしを頭上から見下ろしながらも「はあー」と長い溜息を吐き出して、自らの髪をぐしゃぐしゃと片手で乱した。
まるで色々な事を諦めたかのように。
「何でやろな、女と二人っきりで部屋に居るのに全く欲情せんわ。ふしぎー」
「ねえ本当に失礼だよ。」
「最初会うた時は可愛い子やなあーって思ったのに、騙された。女ってこれだから怖いねん」
そう言われてふと翔との出会いを思い出してみた。
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