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第二十六章 鈴木實⑰
豪州、蘭印の広大な制空権を握り続けた名指揮官
孫娘に言い残した遺言「戦友たちが散った空戦の海への散骨を」
鈴木さんのクラスメート・海兵六十期は、百二十七名中五十八名が戦死、あるいは殉職し、戦争を生き抜いた同期生も、昭和六十(一九八五)年時点ですでに二十二名が他界している。
毎年四月、東京・原宿の東郷神社に隣接する水交会(海軍士官の親睦施設であった水交社の後身)で、同期生が集まって「昭八会」(昭和八〈一九三三〉年、遠洋航海に行ったクラスの意)という集いを開いていたが、
「みんなそろそろ、お迎えも近いことだし、旅行でもしようや」
と、なかでも仲のよい鈴木實、進藤三郎、山下政雄の「六十期戦闘機三羽烏」に、聯合艦隊航空参謀を務めた多田篤次、艦船勤務だった豊島俊夫、砂田正二、鈴木敬弥(けいや)、斎藤英治各氏の八名が語らって、「八千代会」と称して、年に一度、全員が夫婦揃っての旅行を始めることになった。
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