コンビニのオープニングスタッフ

5/5
前へ
/5ページ
次へ
 と思った時に解約しなかった事が悔やまれる事態が発生する。  料金が5万を超えてた。  約束の金も貰ってへんのに、こんなん払えん。  ここはヤクザの子分になったつもりで踏み倒したろうと、預金残高を足りないようにして引き落としできないようにし、ケータイは両方解約した。  督促状が届くも無視。  そういや、最近、あのオッチャンが店に来てへんな‥‥?  すると裁判所からの支払い命令が来て慌てた。  なんと、差し押さえに裁判所から人員が派遣されてきた。  高価な物といってもパソコンくらいしかないけど、 「二人でルームシェアしとって、今は居ないんですわ」  その場しのぎで追い返し、ケータイ会社に電話した。 「あの店員とヤクザのオッチャン、グルやろ。金は払わん、ヤクザに殴り込みかけられたくなかったら支払い命令取り下げろや」  強気に出てみたが、 「契約したのは貴方です。店員がヤクザとグルなんて事はありません。支払ってもらえないようであれば裁判所から強制徴収させて頂きます」  の一点張り。  結局、根負けして、月々5000円ずつ振込で返済するという事になった。  利息は無し、振込手数料は僕持ち。  一年近くかけて支払う事になった。  そして、ケータイ屋に行くと、あの時の店員が居たんで訊いてみると‥‥。 「あの人、捕まりましたよ」  両手首をくっつける仕草。  やっぱりグルやんけ!  とは言え「オマエが代わりに払えや!」なんて言える度胸は無かった。  おそらく、ケータイは、所謂[飛ばし]に使われたんやろう、と思った。  ああ、やっぱりヤクザは人を騙して金稼いどるんやなぁ‥‥フィクションと現実は違う。  簡単に騙されてしまった事は、今も忘れられない。  それから10年以上、意地でもケータイは持たんかった。  みんな持ってるし、公衆電話もまだ色々な場所にあった。  それで帳消しにするために‥‥。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加