コンビニのオープニングスタッフ

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 待ち合わせの喫茶店。  遠慮がちに、やっすい軽食を頂いてるとオッチャンも合流して、なんと黒ベンツの後部座席に乗せてもらってケータイ屋へ。  なんや、ぽん刀らしきものが足元に転がっとる。 「それはアンタッチャブルってヤツや」  これには興奮した。  一生の思い出になるで!  車どころか免許すら取ってないけど、友達の車に乗せてもらう事は、それなりにあった。  車内の音が違う。  エンジン音が静か、揺れも少ない。 「好きなケータイ探してきや」  そう言ってオッチャンは親しそうに店員と話してた。  なるべく安い機種・プランを選択。 「うまい事、やっすいの見つけるなぁ」  ちょっと割引価格で契約。  帰りも勿論、黒ベンツで待ち合わせた喫茶店へ。 *  僕がケータイを持った事で夜勤仲間とは全員電話番号の登録した。  ある日、オッチャンが、 「ちょっと営業に付き合わんか?」  との誘い。  特に断る理由もなく、またも黒ベンツの載せてもらって営業についてった。 「このストラップやるわ。結構キラキラしとるやろ」 「有り難う御座います」  まだストラップの無かったケータイにストラップがついた。  何処かの事務所か会社に行って、どうやらストラップを売りつける営業らしい。  シンジケートがどうたらとか、ヤクザ用語みたいな言葉も出つつ、極道ものへの憧れもあって胸が踊った。  オッチャンの事を兄貴とか叔父貴とか呼ぶ妄想が膨らむ。  世間知らずな僕は、フィクションと現実のヤクザの違いなんて知らんかった。 * 「ちょい相談事があるんや。俺の弟分がブラックリストでケータイ持たれへんねん。にーちゃんの名義貸してくれんか? 月々の電話代に1万の小遣いつけたるから」  名義貸しが犯罪である事も知らず、月1万の小遣いがあれば、それだけ執筆時間も増やせるし、美味しい話やと思った。  承諾した僕は、またも黒ベンツで送迎され、同じケータイ屋で二代目のケータイを契約した。  勿論、代金はオッチャン持ち、そして1万円と交換してしまった。
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