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第1話 : 幼馴染
鳥のさえずり、窓から差し込む陽の光、美味しそうなご飯の匂い。
それから、私の大好きな人の香り。
「桜、朝だよ起きて!迎えに来たよ!」
「匠くんは朝からいつも元気だなあ…」
眠い目を擦りながら彼を見る。
優しく微笑みながら私を起こす匠くん、いつもの光景、いつもの日常をこうして感じる度に心が温かいものに満たされていく。
私には一個上の幼馴染がいる。それが相川 匠(あいかわ たくみ)くん、今私の目の前にいる人。
家が隣同士で両親共に仲が良いせいもあってか、幼い時から私と匠くんは仲が良い。
お互いの家で遊んだり、外で遊んだり。
「桜早く制服に着替えて学校行こ!」
幼い時と全然変わらない、あの優しい笑顔。
私は匠くんが大好きだ。
その気持ちを毎日実感して、好きがどんどん積もっていく。
(でもこの気持ちは、匠くんには内緒…)
私には彼に好きだと気持ちを伝える勇気が無い。
何故なら彼が私を恋愛対象で見ていないという事をちゃんと理解しているから。
そして気持ちを伝えて家族のようなこの素敵な関係が崩れてしまうのが少しだけ怖い自分もいる。
「着替えるからリビングで待ってて」
コクリと頷いて匠くんは階下へと降りて行った。
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