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「はい。きっと他のモデルを見つちゃったんですよね。あの時、お父さんが帰ってきていれば小学生モデルになって人生変わってたかもしれないのに」
ふと見ると残念そうにしている亜紀とは裏腹に由紀乃もマサも神妙な面持ちをしていた。
「あ、もしかして二人とも信じてないんですか?友達も全然信じてくれないんですよ」
ホントなのにぃと亜紀がカウンターに突っ伏した。
「いや中西さん、それもしかしてついて行かなくて正解だったんじゃないかなと思いまして」
マサが言った後に由紀乃が大きく頷いた。
「だよね?」
「へ?」
「ねぇ亜紀ちゃん、それって何年くらい前のこと?」
「2年生だったんで…12年かな?」
「場所はさぁ」
そう言って由紀乃が口にしたのは亜紀が住んでいた近くの町だった。
「えー何でわかるんですか?そこから車で30分位のとこに住んでました」
「いつ頃引っ越したの?」
「その年のゴールデンウィークです。その関係で父は帰りが遅くなったんだって言ってました」
由紀乃とはcatnapで何度か会ったことがあったが、いつになく真剣な顔をしていた。
「スカウトのことは、ご両親には?」
「言ったことないです。父も母も目立つのが好きではなかったので」
そうなんだ…と言ってマサと由紀乃はカウンター越しに目を合わせた。
「何なんですか?すごい気になるんですけど」
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