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部屋の鍵を開けようとするもうまくいかない。手が震えて鍵穴に入らない。
もしかしたら祐介に対する罪悪感がそうさせてしまっているのかもしれない。何度もチャレンジするもやはりドアの鍵が開かないでいた。
するとガチャという音とともにドアが開いた。
祐介がドアを開けたのだ。
「智花。お帰り」
「あ、ただいま。なんか鍵が開かなくて焦っちゃった。祐介が開けてくれて助かった。ありがとう」
祐介は鍵穴が錆びてきたのかなぁとブツブツ言っている。智花が男と会っていたことなど全く気づいていない。
まして智花が浮気をしているなど考えもつかないでいるだろう。
「智花。メシは?」
「あぁ。ごめーん。会社の人に誘われて食べてきちゃった」
祐介は食べてくる時は連絡してほしいとだけいうとバスルームに入っていった。
よかった。
何もバレていない。
智花はホッとすると冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し一気に飲んでいた。
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