8人が本棚に入れています
本棚に追加
夜。
アパートの4階の一室で、寝る前にベッドの上でスマホをいじっている一人の少年の姿。
少年の名は「仁来 ニムス(ニライ ニムス)」、17歳。このアパートで一人暮らしをしている学生だ。
スマホの画面には、ピンポイントで検索しなければ表示される事の無い無名のサイト、『ムーの大予言』のホームページが映し出されている。
新しく投稿された記事を開くニムス。
いつもは怪しげな、”陰謀論”めいた事を長々と書いてある記事が投稿されるのだが、今回は違っていた。
ただ一言だけ。
ーコノヨノオワリ ガ オトズレルー
動きを止めるニムス。じっとスマホの画面を凝視して、何事かを考えて。
大分時間が経った後、そっと「イイネ!」を押してから、ネットを終了させた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
数時間後の深夜、丑三つ時。
ベッドの上で眠るニムス。
一人暮らしで、ニムスしか居ないはずのアパートの一室に、もう一つ、人影が立っていた。
その人影が、どうやってこの部屋に入ったのかは分からない。
音も無く、ニムスの枕元に歩み寄る人影。
窓から差し込む月明かりに照らし出されたのは、一人の少女の姿だった。
眠るニムス胸に手を当てると、そのまま寝顔を見つめる少女。
そして、そっと身体を屈めてニムスに顔を近づけると、耳元で小さく囁いた。
「ただいま、ニムス」
月明かりのこぼれる窓から、サァッと風が優しく吹いて、カーテンを揺らした。
風がやんだ後、その一室に、少女の姿は無かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最初のコメントを投稿しよう!