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グラウンドの横には2階が体育館、1階が柔剣道場になっている建物がある。この時期になると、昼休みの終わった頃に丁度太陽の光が2階部分に直撃する。そしてその直撃した光はそのまま、グラウンドを囲む様に体育館に対して直角に立っている校舎と中庭に向かって跳ね返って来るのだ。世界的にも有名な建築家のデザインと言う学校自慢の中庭は、不思議なモニュメントが沢山立っている。
(一般人には、理解できないわ。)
そんな事を考えながら、菜々美は光の溢れる謎のモニュメントの林へ足を踏み入れた。
「ナミー!待ってー。」
中庭を抜けようとしていた彼女の背中に声が掛かる。クラスも部活も一緒で菜々美と一番の仲良しの亜紀ちゃんの声だ。昼過ぎの一番眩しい日差から逃れる様に菜々美が振り返ると、亜紀ちゃんに加え、優子と倫子も一緒に駆けて来る。2人は1年の時から菜々美と同じクラスで仲良くなった子達だ。亜紀ちゃんだけ1年の時のクラスが違うが、菜々美繋がりで2年になってからは4人で一緒にいる事が多い。
「あれー?皆行っちゃったかと思ってた!」
トイレに行っている間に、皆が移動してしまったと思ったが違ったらしい。
「メッチャ待ってたし!」
「やばい予鈴鳴るよ!」
口々に叫びながら中庭を4人が駆け抜ける。目指すは体育館だ。今日は今から体育祭前のグループ毎のオリエンテーションがあるのだ。各学年同じグループになったクラスが集まっているので、遅れたりしたら物凄く恥ずかしい事になる。
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