扉にお気を付けください

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「で、菜々美は?」 1人だけ名前を上げなかった菜々美に3人の視線が集中する。 「え、いや、私、今好きな人、いないし……。」 菜々美の頬が一気に熱くなる。しどろもどろに答える菜々美を見る3人の視線が一気に鋭くなる。 「いやいやいやいや、いるでしょ、その反応。」 ニヤリとしながら亜紀ちゃんが言う。ユッコとノリが急に菜々美の腕を両側から抑え込む。 「吐こう。吐いとこう。寧ろ吐け!」 完全に遊ばれている。 「だ、だからいないってば……!」 「で、誰?」 「誰?このクラス?」 「誰誰?」 菜々美は必死で抵抗するが、3対1では勝ち目などある筈も無い。捕まった宇宙人の様に腕を捕らえられたまま、菜々美はガックリと肩を落とした。 「……分かった、言うよ。言うけど、怒らないでよ?」 3人は恐らく今日一番目を輝かせて菜々美を見る。 「その……名前、知らない人、なの……。」 まるで菜々美の言葉を合図にしたかの様に、チャイムが鳴った。
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