刺身の時間

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てくてくてくてく 人の居ない空き地に着くとごろんごろんと寝転んだ。 こうかにゃ?この方が人間たちは集まるかにゃ? これは変なポーズかにゃ? いくつかポーズを考えてごろんと起き上がる。 僕は賢いにゃ。だから明日の為にポーズをいっぱい練習するにゃ。明日はどんなサービスをしてやるかにゃ? 夕日の中で何度も寝返りをうった。 夜になり家に戻ると、いつもの年老いた人の膝に飛び乗った。 「おや、おかえりタマ」 やっぱりここが一番あっかいにゃ。 膝の上で丸くなると優しい手で僕の背中を撫でてくる。 そこじゃないにゃ。そこじゃないけど暖かいから許してやるにゃ。 そうだ、今日のお魚美味しかったにゃ!また食べたいにゃ! 「そうかい、おなかがすいたのかい?ご飯にしようね」 年老いたその人は立ち上がり、僕は膝から降りた。 どこいくにゃ?寒いにゃ! 僕は刺身か食べたいって言っただけにゃ! にゃーにゃー言いながらついていくとご飯を目の前に置かれた。 違うにゃ刺身にゃ 「たらふくお食べ」 年老いた人は僕の頭を撫でて先程の部屋に戻っていった。 全く、人は僕の言ってることを何も分かってないにゃ。 でもおなかがすいたから食べてやるにゃ。 いつも通りころころとした餌を僕は食べ終え、先程の部屋に戻った。 「タマ、食べたのかい?」 「にゃー」 やっぱり刺身がよかったにゃ。 「そうか、美味しかったのかい。それは良かった」 僕は喉を撫でられごろごろ鳴らした。 僕は賢いにゃ。こうしていればご飯を貰えることをちゃんと知ってるにゃ。 やっぱり人間はちょろいにゃ。そんな人間は大好きにゃ。
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