第五章3節

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 僕が提唱した殺し合い、これはさっきいっていたゲームの中で負けている人物が、勝った気になれることができる代物なんだ。  君にはこれが恐ろしいものにしか見えなかったようだけど、他の人達にとってはやっぱり楽しいものなんだ。  もう人生なんて送らなくていい。つらいつらいと呟かなくったっていい。そして死ぬ前に今までのうっぷんをここで一気に晴らすことできる。  君はどうしてここに来たんだい?  自分のデマを改めたい。きっとそんなところだろ?  君はそのためには人生のゲームに負けが込んでいる人たち全員を勝たせてあげないといけない。彼らが思い描くイメージを実現させてあげないといけない。少なくともそれができそうな方法を具体的に提示して説得しないといけない。  どうだい? 君にそれができそうかい?」  僕は急に恐ろしくなってきた。  この会に所属する人間、あの殺し合いに参加しようとする人間はみんなが負けが嵩んでいる?  その彼らの負けを今僕が考えられる範囲の言葉で勝った気になれるようにしなければいけない?  …そんなの無理だ。無理に決まっている。  本当は僕だって、自分の考えが全然思い通りにならない人間だったんだから。負けっぱなしの人生を送ってきた人間なんだから。  …ん? 待てよ。     
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