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まあ、君は最初あんなに女嫌いだったのをその先生が直してくれた。君の場合は自分の思考を変えてもらうような紆余曲折を経てそうなったみたいだから、ちょっとやそっとで想いが壊れたりなんかはしないと思う。
ただ、そんなに人の思考ががらっと変わるような、さっきいっていた負けが連なった人間が君みたいに、それを補えるような人間に都合よく会えるはずなんてない。
向こうから来てくれるとものと勘違いして永遠に待ち続けるのが関の山さ。やっと来てくれたっていう人間がさらに自分に負けを呼び起こしたりしてね。
…うちの妹見ればわかるだろ?
君のケースが奇跡に近いのさ。それをみんなに当て嵌ようとするなんて愚の骨頂だよ」
そうだ。そうだよ。僕だって小学校中学校と心のどこかでその存在を待ち侘びていた。そして、もはや諦めかけていたところで現れたのが先生だった……
僕はうなだれる。
このまま僕は負けるのかもしれない。
この男に何の抵抗もできずにこの場を立ち去らなければならないのかもしれない。
…いや、帰れるのかも現時点では分からない……
しばらく頭の中がぼんやりとして全く思考ができなかった。
だから、藤代が僕に声をかけていることにすぐに気付かなかった。
「…どうしたんだい? まだ僕の話は終わっていないよ」
…もう聞きたくない。
そんな一言の科白をいうのも億劫になっていた。
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