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「私もマスターも家族に棄てられて家族を棄てたから。」
「月依さん・・・」
寂しげな横顔に胸がキュッとなる。そっと抱き締める。
「ちょっと~なぁに?」
「寂しそうだったから・・・」
「大丈夫よ。慣れてるから・・・」
耳元に落ちる低くて甘い声にゾクッとする。
「本当に?妹さんにも逢いもしないのに?電話もメールも返事していないでしょ?」
「ふふ、よく見てるのね。」
「月依さんの家族を棄てたって原因は、あの妹さんでしょ?」
「(抜け目、ないわねぇ・・・)」
核心にそっと触れられて身体が無意識に震えた。
「ごめん、訊いちゃいけないことだったよね。」
素直に謝った。
「(困ったわねぇ。)」
そんな青年の態度に心のガードがどんどん下がっていく。
悔しさも辛さも誤魔化して前に進むふりで足踏みを続けて来た。泣いたり喚いたり縋ったりもしなかった。
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