◇7◇ 傾くシーソー

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   「私もマスターも家族に棄てられて家族を棄てたから。」 「月依さん・・・」  寂しげな横顔に胸がキュッとなる。そっと抱き締める。 「ちょっと~なぁに?」 「寂しそうだったから・・・」 「大丈夫よ。慣れてるから・・・」  耳元に落ちる低くて甘い声にゾクッとする。 「本当に?妹さんにも逢いもしないのに?電話もメールも返事していないでしょ?」 「ふふ、よく見てるのね。」 「月依さんの家族を棄てたって原因は、あの妹さんでしょ?」 「(抜け目、ないわねぇ・・・)」  核心にそっと触れられて身体が無意識に震えた。 「ごめん、訊いちゃいけないことだったよね。」  素直に謝った。 「(困ったわねぇ。)」  そんな青年の態度に心のガードがどんどん下がっていく。  悔しさも辛さも誤魔化して前に進むふりで足踏みを続けて来た。泣いたり喚いたり縋ったりもしなかった。   
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