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四
目が覚めた。
酷い悪夢だった。
誰かに首を絞められていたような――と、思わず首に手をやったが、もちろんどうということはない。
ただ、ぐっしょりと寝汗をかいていた。
なんだか、ひどく体が重い。
おまけに、やけに息苦しい――
――と、思ったら、胸の上にちょこんと黒い猫が乗っていた。
「うわぁぁっ!」
夢の中で聞いた、化け猫じみた鳴き声が、まだ耳に残っている。
がばと跳ね起き、思わず引っつかんで放り投げてしまってから激しく後悔したが、猫はくるりと一回転し、畳に爪を立てて着地した。
ちりりんと、鈴が鳴る。
何をやっているんだ、俺は――
それは、猫は猫でも、まるで毛玉のようにふわふわとした、小さな仔猫だったのだ。仔猫は、一丁前にフーッと毛を逆立てて、全身で怒りを表現している。
「すっ、すまん――」
思わず、謝ってしまう。
猫は、祟ると言うからな……
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