探偵さん

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「名前…?…」 聞かれて混乱する。いい名前が思いつかない。自分の名前…なんだろう。何がいいのだろう。 僕が混乱してるのがわかったらしい新納さんが、苦笑しながら頭をぽんっとしてくれた。 びくっとしちゃったけど、少し嬉しくなる。新納さんの手はあったかい。 喧嘩の手じゃない気がする。 新納さんはそのまま手を離して、考え込むように口元は持っていった。少し寂しさを覚える。 「…。」 「…。」 無言が二人を包んだ。 そんな雰囲気を誤魔化すように、ごほんと咳払いをして新納さんが 「…お前の名前、無いなら茜にしようと思うんだがいいか?」 「あかね…?」 なんだろう。どんな意味かな? 「あぁ。色の名前だな。夕焼けの色とかに似ている。お前の目が茜色だったからね。」 僕の目…赤の血の色の目…僕の嫌いな色なのにな。この人は笑顔で認めてくれる。 「どうだ?」 いい名前だろ?と自信満々に聞いてくる新納さん。 思わずふっと笑って、頷いた。 僕はその時、「死神」ではなく、「茜」になることができた。
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