あの頃の君へ

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あの頃の君へ

25歳のころ恋をした まあいわゆる社内恋愛?というのかな それまでかかわりのある人はおじさんばかりで そういうことになることはなかった ある日 彼と仕事のことで話をしている時 突然地震が起きた キャ~助けて~ というほどの物ではなく 「あ…地震だ…」とポツリと一言彼が 私は全然感じなかったが 彼がそう言ったときにふと目と目が合い 何かが生まれた 私からアプローチするのは初めてだった 彼の電話番号を内緒で知り合いから聞き出し 思い切ってかけた 携帯電話もない時代 忘れもしない土曜の午後 直ぐに喫茶店で会うことになった それから時々一緒に遊びに行くことになり 彼からすればいつの間にか私は彼女になっていた 自分から電話をかけたのに私は友達の延長のように思っていた 数回どこかへ遊びに行ったが 男の人たちはとにかく会社が忙しい時代で 休日出勤は当たり前 残業はしょっちゅう まだ付き合い始めたばかりで親にばれ 家に連れてこいと言われ 素直に連れてきた結果 親から踏んだり蹴ったり 実際に手足は出さないが えらく彼氏は責められ 結局別れた あの頃の君へ 世間知らずな私で本当にごめん 付き合ったらすぐに結婚するのが当たり前のように思っていたから まだお互いがよく分かってもいないのにひっちゃかめっちゃかになっちゃって あの後ずっとつらかった 「あんなかっこ悪い人を何で好きだったのかわからない~」 なんて強がって友達に言っていたけど 心はあなたを欲していたんだ ず~~~~~っと 君のことが忘れられなかった 今でも君のことを思い出すと泣いてしまいそうになることもある 君と別れた後 会社で君と会うこともあったけど 全然平気な振りをしてたんだよ だけど本当は会えてうれしくって それでもそれ以上は無理ってわかってたから あきらめるしかなくって ごめんね ずいぶん時間がたって 他の人と縁があって結婚したけれど つらいことがあると 君のことを思い出して泣きそうになったよ 私とはダメだったけど どうか幸せになってね 本当に しあわせになっててね
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