Chapter4 月光

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ここからは一生出られない。 もう、あんたの背中には(しるし)があるからね。」 走り去る時に声が聞こえた気がしたけれど、振り返らず、ひたすら走り続けた。 街を離れ、森に入る。 木々に邪魔(じゃま)され、顔は汚れ、髪はボサボサ。腕は枝で切れて血が出ている。 光が見える! 逃げ切れたんだ! そう思って森を抜けると、そこは懸命(けんめい)に遠ざかっていたはずの街の中心部だった。 (そんな。) 街の人がこっちに来る。 急いで森に入り、逆の方向に走る。 今度こそ! ・・森を抜けると 目の前には温泉に満たされた曼荼羅(まんだら)の形の広場が広がっていた。 (どうして?) どんなに森を彷徨(さまよ)っても、同じ場所に戻ってきてしまう。 ふと、さっき走り去る前に聞こえた言葉が蘇る。 「もう、あんたの背中には(しるし)があるからね。」 恐る恐る服の中に手を入れ、背中を(さわ)る。 (なにこれ。) 背中にミミズ()れのような凹凸ができていて、丸い形から外に放射線状に広がっている。 あの、広場の曼荼羅(まんだら)のように。 いつ背中に印をつけられたか、心当たりがあった。 そう、ゴミを取ると言ってお婆さんが背中に触れた、あの時だ。 あたたかい手の感触(かんしょく)に愛情を感じていたあの時の私に、今の状態を知らせたい。 こんな異様な街に一生閉じこめられるなんて、絶対いやだ。     
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