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Chapter2 夕日
街の中心部だというところに行くと、それなりに賑やかだ。
中心から放射状に、凹凸で表した模様がある。
どこか曼荼羅を思わせるような、不思議な形だ。
その周りには、また深い凹凸を挟んで、様々なお店が並んでいる。
学校が終わったのか、子どもたちが笑い声を上げながら曼荼羅のような段差のある模様の上を走り回っている。
広場のような役割をしているらしい。
一人の子どもがこちらに気付き、合図をすると、みんな一斉に集まってきた。
「お姉ちゃんのスカートかわいいね!」
「青くてヒラヒラして人魚みたい!」
裾のカットが変わっている、この真っ青のスカートは、オーダーメイド品だ。
課長が気に入っていて、二人で会う時に履いて行くと、似合っているといつも褒めてくれた。
会社ではクールなのに、二人の時には子どものように無邪気な顔で笑っていた。
あの笑顔が今も忘れられない。
上手くいっていないと言っていた奥さんとの間に生まれた子は、まだ2カ月だ。
旅行に行く時、ついこのスカートを選んでしまった過去の自分を疎ましく思う。
そんな心の中の暗い気持ちにはお構いなしに
「いつも一緒にいるお友達っている?」
「ねえねえ、誰か好きな人いる?」
どの子も人懐っこい笑顔を向けながら、矢継ぎ早に質問してくる。
「今はオババの家にいるんだよ。さあさ、そろそろ日が暮れるよ。」
お婆さんが見兼ねて間に入ってくれる。
「はーい!
お姉ちゃん、また一緒に遊んでね!」
子どもたちの声はどこまでも明るい。
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