0人が本棚に入れています
本棚に追加
序
いつもの天井。いつもの窓。いつもの目覚まし時計の音。いつも訪れる朝。
いつもと違うことがあるとすれば、それは―――
まただ。
頭を振ってみるもやはり拭えない霞がかった視界。
窓からはこの季節にしては温かな陽光が差し込み、二度寝もせずにスッキリと起きることができた。
―――なのに寝覚めがよくない。ボンヤリしている。
昨夜見た悪夢のせいかもしれない、と考えてみたが、二度瞬きをする間にそれは打ち消された。
そうか、と半身を起こして脇のテーブルに置いてあったそれを手に取り、思い出す。
「なんで夢じゃないんだよ……」
つぶやきは冷気と共に落ちていく。
テオドールの一日は大体このように始まる。
最初のコメントを投稿しよう!