父でありたい

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私の中の何かが崩れ落ち、私は亮太を抱き締めた。 「忘れたことなど一日たりともないよ」 「俺は一秒だってねえよ。いつか父さんを追い越してやるから。だから逃げるなよ!」 私は一体、何を血迷ったのか。 今となっては分からない。 だが、抱き締めた亮太の背中が知らぬ間に広くなっていたことに喜びを感じる。 それを知っても私は、つい強がりを口にする。 「そんな耄碌(もうろく)していないからな……」 了
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