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それに気付いたとき、私は亜香里も亮太も捨てて、一枚の離婚届を残して家を出た。
冗談だと思うだろうか?
探すだろうか?
そんな気持ちにもなったが、亜香里は電話の一本も寄越さなかった。
芸術家の私が必要であって、夫としての私、父としての私には価値がなかったのかと肩を落とした。
何処に行こうとも私は逃げられないのは知っている。
それだけの名がある。
分かっている。だが、画家として私は貪欲に生きたい。
それを叶えるために逃げたんだ。
帰るまい。
そう誓ったのは亮太が小学校にあがる少し前のことだ。
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